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相続放棄とは?基本情報をわかりやすく解説!自分は検討すべきか確認しよう

相続発生時に考えたいのが、遺産を相続するか否かである。

一般的に相続を経験する回数は多くはなく、検討すべきかどうか悩む人は少なくない。

そこで今回は相続放棄についてメリットとデメリットを踏まえて、検討すべき場合と放棄を検討すべきでない場合を紹介していく。

自分が遺産を相続すべきかどうか知りたい方はぜひ参考にしていただきたい。

目次

相続放棄とは

相続放棄とは、相続人である権利を放棄して遺産を相続しないことを指す。

そのため相続放棄をした人には相続税が発生せず、個人に負債があった場合の返済義務は負われない。

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相続放棄の主なメリットとデメリットは以下の通りだ。

メリットデメリット
借金を相続しないで済む・1人で手続きOK期限がある・撤回できない

借金を相続しないで済むことが可能な一方で、期限がある放棄の検討が十分にできないデメリットもある。

詳しくは「相続放棄のデメリット・メリットは?後悔・損しないための注意点7つ!」で紹介している。

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検討すべき場合

相続放棄を検討すべき場合は、以下の4つが挙げられる。

  • 「知らない高額な借金があった」など負債が大きい
  • 「親族関係が悪いので関わりたくない」など相続問題の複雑化
  • 「自分はいらないから〇〇へ」など特定の人に優先的に相続させる
  • 「家のメンテナンス費用>利益」など相続する財産の資産価値が減少しそう

負債が大きい

「知らない高額な借金があった」など負債が大きい場合は一番に相続放棄を検討する。

相続する財産は預貯金や不動産などのプラスの財産以外にも、借金などのマイナスの財産を相続することになる。

もしプラスの財産だけで借金が返済できなかった場合、相続した人が貯金などから借金を返済することになるのだ。

そのため相続が起こった際には、まずプラスの財産とマイナスの財産を全て確認した上で、マイナスの財産の方が明らかに大きかった場合は放棄した方が良いだろう。

書類を整理していたら、金融機関から1,000万円の借り入れがあったことが分かった。貯金などを合わせると100万円。確実に900万円は相続人の手出しで返済しなければならないことが分かっているので放棄。

上記のように、「借金が見つかった」「故人の残した住宅ローンが高額すぎて払えない」などの検討理由が挙げられるだろう。ちなみに借金を確認する方法はいくつか存在している。

借金確認方法
  • 郵便物や通帳、不動産の登記簿謄本の確認
  • 信用情報機関への問い合わせ
  • 個人間の借用書がないか探す

マイナスの財産を優先的に確認した上で、プラスの財産と合わせて計算していくことをおすすめする。

どの財産がマイナスの財産となるかは「相続時に税金がかかる財産とかからない財産は?一覧表で相続財産の計算方法を解説!」で紹介している。

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相続問題が複雑化しそう、他の相続人と関わりたくない

相続放棄を行うことで、相続トラブルや他の相続人と関わらずに済む。

「他の親族との折り合いがつかず、相続について話し合うのが億劫」

「遺産争いに巻き込まれるのが目に見えている」

誰が相続人になり得るのかは、相続人の相関図を作った際に確認するのも手だ。

不動産登記を行う際に役立つ相続人説明図については「相続関係説明図をかんたん作成!使用目的・書き方・法定相続一覧図との違いを解説」で紹介している。

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特定の人へ優先的に相続させたい

相続放棄は、他へ相続権利を移せる有効な手段だ。

故人をよく世話してくれた人もいるだろう。その際に自分が放棄することで、元々相続権がなかった人にも相続させることができる。

「献身的に両親の世話をしてくれた長男へ、感謝の気持ちを込めて全額渡したいと次男が放棄」

「故人の両親が『私たちはいらないから』と自分たちより相続順位の低い兄弟姉妹に相続させるため放棄」

相続権がなかった人が相続できる理由は、相続順位が決められているからだ。

詳しい順位は「相続順位はどうやって決める?当てはめるだけでわかるケース別の具体例」で紹介している。

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相続する財産の資産価値が減少していきそう

土地や家などを相続した場合、その不動産の資産価値が減少しそうなら検討しても良いだろう。

売却益よりも保有コストがかかってしまう場合、価値が低下した時点で売却するより最初から相続放棄を行うのも手だ。

保有コストがかかってしまう例
  • 修繕が必要な箇所が多いボロボロの空き家を相続する
  • いずれ売却予定だが、今は忙しいのでとりあえず保有しておく
  • 活用先が限定されている広大な土地を相続した

ちなみに不動産を相続した場合、発生し得るコストは「不動産相続したら何をすればいい?スケジュール、手続き、税金について」で紹介している。

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検討すべきでない場合

検討がすべきでない場合は、遺産総額が明らかになっていない時である。

一旦放棄してしまうと撤回ができないため、借金が多かったから放棄したのに後から高額な遺産があると分かっても相続は不可になる。

放棄すると住んでいた家なども手放さなければならない。

愛着のある家を手放したくないという人は、プラスの財産で支払える分しか借金を相続しない「限定承認」を行うことが多い。

限定承認なら、プラスの財産の方が多ければ借金を支払っても手元に資産が残る上に家や土地を手放さずに済む。

ただし限定承認は相続人全員が共同で申請しなければならないので、話し合いが必須となる。

限定承認と相続放棄のどちらを選ぶかは、全財産額と相続税がいくらかかってくるかを計算して選ぶと良いだろう。

あらかじめ相続税を「相続税の計算シミュレーション!具体例付きでわかりやすく解説!」を参考にしてシミュレーションしておくと判断しやすい。

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放棄時の注意点

相続放棄の気を付けるべきポイントとして以下の4つが挙げられる。

  1. 3ヶ月の期限付き
  2. 放棄が認められないケースもある
  3. 放棄しても土地の管理責任は残る
  4. 借金の保証人になっていると厄介

3ヶ月の期限付き

相続放棄を申請する期限は3ヶ月だ。

3ヶ月を過ぎると単純承認したとみなされ、プラスもマイナスも含めて全てを相続することになってしまう。

亡くなった時から2週間以内は、相続以外の各種手続きで忙しくなる。

そのため、あらかじめ各種手続きを含めた相続全体の流れを確認し、期限付きの手続きから優先的に対処していこう。

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調査が難航して3ヶ月以内に決められない場合もあるだろう。

もし放棄に関する十分な要素が揃っておらず決断できない場合には、相続放棄の期間の延長が可能である。

この「相続放棄の3ヶ月熟慮期間の伸長」も申し立ては3ヶ月以内の期限付きなので注意していただきたい。

放棄が認められないケースもある

相続放棄は、意図せず個人の財産を使ったり処分してしまうと相続したものとして単純承認が成立してしまう。

放棄できなくなる主なケースは以下の通りだ。

  • 相続財産を故人の口座から引き出す
  • 故人の財産を処分する
  • 家の改修工事を行う
  • 口座を解約する
  • 不動産や車の名義変更を行う

特に、雨漏りが発生していたので急遽故人の自宅を修繕したなどは知らない内に放棄できなくなるので注意しておこう。

相続人が行うものとみなされると、相続する意思があると判断される。

ちなみに相続放棄できるかどうかは、家庭裁判所にて無料で照会してもらえる。

自分が相続放棄できるかどうか確認しておくと良いだろう。

土地の管理責任は残る

相続放棄した場合、固定資産税などの不動産関連の支払い義務は発生しない。

しかし次の管理人(相続財産管理人)が決まるまでは、土地の管理責任は相続放棄した人を含めた相続人だ。

例え放棄していても免れられない。

そのため管理人が決まる前に、放火などが発生した場合の責任は相続放棄者に問われるのだ。

放棄しても速やかに財産管理人を選出しなければならない点に注意が必要である。

保証人になっていると厄介

借金連帯保証人に故人がなっていた場合は、相続放棄に関係なく返済義務が発生する。

例えば、金融機関から夫が借金をしておりその保証人に妻が記載されていた。妻は相続を放棄しても借金を返済しなければならない

さらに相続からしばらくして債務者が借金を返せず故人へ、つまり相続人へ返済義務が発生することもある。

放棄に関係なく、連帯保証人になっていないかは必ず確認しておこう。

よくある質問

相続開始前に放棄できる?

相続開始前には放棄できない

特に、生前に借金が残っていることを分かっていたにも関わらず放棄して返済義務を逃れようとした場合は罪に問われることもある。

借金が残っていると生前に分かったのであれば、任意整理や個人再生、自己破産などで対処しておこう。

全員が放棄するとどうなる?

相続人全員が放棄した場合は、国の財産となる。

全員放棄した後、家庭裁判所により相続財産管理人が選出されることになる。

それまでは放棄した人に土地管理責任が残っているので注意が必要だ。

放棄で発生しうるトラブルは?

借金が原因の相続放棄の場合、自分が放棄することにより他の相続人に負債を押し付けてしまう

そのため「借金が原因で放棄する」と伝えないままでいると、他の相続人が知らず知らずのうちに借金を背負ってしまう可能性もあるのだ。

なんで教えてくれなかったのか、と後で親族関係悪化の原因となるので必ず伝えるようにしておこう。

また放棄によって兄弟姉妹に相続権が回るケースもある。

兄弟姉妹がいる方は「兄弟姉妹の相続放棄は1人でも可能?遺産はどうなる?放棄するケースと注意点」も確認しておきたい。

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いくらかかる?

費用は、自分であれば数千円、専門家への依頼は数万円程度が相場だ。

もし放棄による相続トラブルが発生してしまった場合は弁護士などの力を借りるのも手である。

弁護士が関与できる範囲は「相続で弁護士は必要?相談すべき人・ケース別費用をまとめて解説!」で紹介しているので、不安な方は一度確認しておいても良いだろう。

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まとめ

相続放棄は明らかな負債がある場合を除いて、よく考えて決めるようにしたい。

放棄の判断前には、遺産総額の確認を最優先すべきだ。確認が完了し、負債が大きければ速やかに相続放棄手続きを確認して、必要書類を揃えることをおすすめする。

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詳しい放棄手続き方法は「相続放棄手続きは自分でできる!費用・期限・注意点を初心者向けに解説!」で解説している。

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なお相続放棄の手続き自体は自力で行えるが、複雑な場合は専門家へ依頼してみてはいかがだろうか。

専門家へ相談するか迷っている人は「相続放棄手続きは自分でやる方がいい?専門家に頼む場合と徹底比較!」を見て判断していただきたい。

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