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相続放棄のデメリット・メリットは?後悔・損しないための注意点7つ!

資産を相続しない選択(相続放棄)をした場合、どのようなデメリットが発生するのだろうか。

相続放棄によるメリットとデメリットを知っておくことで「放棄すればよかった」「放棄しなければ得したのに」という後悔をなくすこともできる。

本記事では、放棄のメリットとデメリット、放棄時の抑えておきたいポイントを解説していく。

本当に放棄して良いのか迷っている方はぜひ参考にしていただきたい。

目次

メリット

返済義務がなくなる

相続放棄を行う1番のメリットは、マイナスの財産(負債)の返済義務から逃れられることだ。

通常は遺産を相続する場合、以下の3パターンから相続手段を選ぶことになる。

単純承認限定承認相続放棄
プラスの財産全て相続全て相続全て相続しない
マイナスの財産全て相続プラスの財産で払える分だけ相続全て相続しない
選択基準プラス > 借金借金総額が不明プラス < 借金

単純承認は負債金額を引いた額を手元に残すことができるため、負債が少なくプラスの財産が多い時に選ぶのが良い。

例:借金0円でプラスの資産しかないケースや過払い金があって支払ってもプラスになるなら「全部」引き継ぐ

限定承認は負債額が不明瞭な時に活躍する。プラスの財産が多ければ負債を引いた額を相続し、借金が多ければプラスの財産を全て借金返済に充てて自分は手出ししなくて良くなるのだ。

例:調査に時間がかかってまだ正確にわかっていないケースは「限定」して引き継ぐ

しかし借金が明らかに大きい場合は相続放棄で、返済義務を負わないようにするのが良いだろう。

例:借金が見つかったが、あまりにも大きくて自分の資産で支払っても完済できそうにないなら「全部」引き継がない

それぞれ検討すべきケース

単純承認:1,000万円の貯金、500万円の借金がある場合

限定承認:1,000万円の貯金、500万円~1,500万円の借金がありそうな場合

相続放棄:1,000万円の貯金、2,000万円の借金がある場合

預貯金などのプラスの財産が多いと単純承認、負債額が分からない時に借金を背負わないようにする限定承認、借金が多すぎると相続放棄を選択することになる。

つまり、相続放棄は明らかに借金が大きい場合に有効な手段となるのだ。

相続争いを避けられる

相続放棄を行うことで相続権をなくすことができる。

そのため、誰がどのくらい相続するかという話し合いを避けられる。

身内でお金の話をする、という状態に抵抗感を覚える人も少なくない。

例:相続の話し合いに参加するのが嫌だ、仕事が忙しくて相続について考えたくない

もし「莫大な遺産が残されていた」「なかなか話し合いでまとまらない」などのケースでは、相続争いは長期化しやすい。

最初は話し合いから始まった相続の会議が調停、審判とより大きな問題へと発展してしまうのだ。

長期化してしまうと日常生活にも支障が出かねないので、先に放棄しておくことで遺産のことを考えなくて良くなるというわけだ。

他の相続人と関わらず手続きできる

相続放棄は他の相続人の許可を得ることなく、1人で行うことができる。

相続人全員が同意しなければならない限定承認と比べると、実現難易度でいえば相続放棄の方が圧倒的に低くなる。

身内と疎遠であったり、ウマが合わなかったりして関わりたくない人もいるだろう。

その場合、放棄を行えば他の相続人と関わらずに済む。

例:特定の親族との仲が悪い、自分だけ遠方に住んでいて手間がかかる

手続き自体は、必要書類を集めて家庭裁判所へ提出するだけなので相続の知識がない人でも行いやすい。

もし専門家へ依頼するかどうかで悩んでいる人は費用と手間のバランスを考えて選んでいただきたい。

詳しくは「相続放棄手続きは自分でやる方がいい?専門家に頼む場合と徹底比較!」で解説している。

imva.info
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デメリット

負債を他の相続人へ渡してしまう

相続放棄を行うと、別の相続人に負債を渡してしまう。

例:自分が放棄したら、兄弟へ相続権と借金返済義務が移った

あらかじめ相続放棄を行うことを伝えていればトラブルには発展しにくいだろう。

しかし疎遠で連絡先が分からない場合、伝えていないと他の相続人が知らないうちに負債を含めて相続してしまうトラブルに発展する。

伝えないと迷惑に

相続放棄した時点で、裁判所から他の相続人へ相続放棄連絡は行われない。

そのため、放棄者自身が伝える必要が出てくる。

しかし誰が次の相続人になるのか、相続順位の決定方法を知らない方も少なくないだろう。

その状態を放置してしまうと「何年も前の借金を知らず知らずのうちに背負っていた」と親族関係が悪化する原因にもなりかねず、伝えないと他の相続人に迷惑がかかってしまう。

さらに伝えるのがギリギリになると、他の相続人が焦って誤った相続手続きを進める可能性もある。

通常、相続放棄申請は相続発生を知ってから3ヶ月以内という期限が設定されているが延長申請だ。しかし「3ヶ月」の短さと「他の相続人が放棄した」というイレギュラーな事態に捉われて、落ち着いて適切な対処ができずに後悔の残る相続をしてしまうリスクもあるのだ。

例:娘が放棄して相続権を得た母が、放棄できなくなるNG行動(家の修繕など)をして望まない相続をした

ちなみに知らないうちに借金を背負うトラブルが発生しやすいのが、兄弟姉妹が相続人となるケースである。

数は少ないものの、どういった場合に相続権を得るのか知っておくと意図しない遺産を相続しないことにもつながる。

詳しくは「兄弟姉妹の相続放棄は1人でも可能?遺産はどうなる?放棄するケースと注意点」で紹介している。

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限定承認ができない

前述した「全部(単純)もらう」「限定してもらう」「全部もらわない」という3パターンの中で相続放棄を行った場合、後から限定承認など他の相続方法には変更できない。

負債以上にプラスの財産が見つかったとしても、放棄したら受け取れなくなるので注意が必要だ。

例:2,000万円の借金があり放棄したが、4,000万円の隠し財産が後から見つかった → 受け取り不可

過払い金などもあればプラスに転じることも十分考えられる。

そのためには、まず亡くなった人の資産額を生前から把握しておくのが良い。

または専門家へ依頼して財産調査を行ってもらうのが確実であろう。

代襲相続できない

相続放棄を行った場合、代襲相続はできない。

相続人が既になくなっていた場合、その子や親が相続できる制度のことを代襲相続という。

代襲相続例

子供が亡くなっていた場合は孫へ

両親が亡くなっていた場合は祖父母へ

兄弟姉妹が亡くなっていた場合は甥姪へ

なぜなら相続放棄を行うと、「相続権を放棄 = 始めから相続権がなかった人」という認識へと変化するからだ。

そのため、元々相続権がない人に代襲相続を行うことができないということになる。

「自分が放棄して、自分の子供に相続権を移したい」などの方法を取ることはできないので注意しておこう。

NG例:父の財産を相続することになったが、自分の子供(父の孫)へ相続させたくて放棄

放棄時の抑えておきたいポイント

メリットデメリットを踏まえて相続放棄をすることになった場合、いくつか抑えておきたいポイントがある。

なお、自分が放棄すべきか決めかねているなら「相続放棄とは?基本情報をわかりやすく解説!自分は検討すべきか確認しよう」を見て最終判断をしていただきたい。

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撤回不可

相続放棄は行ってしまうと撤回はできなくなる。

そのため放棄するか、承認(単純、限定)するかどうかはよく考えて対処しなければならない。

後から資産があったと知っても「知らなかったから撤回したい」という主張は通じない。

専門家などの手も借り、資産額を正しく把握した上で検討すべきだ。

財産を触ると放棄できなくなる

相続放棄手続きが終了していないのに、財産を処分した場合は相続の意思があると判断されて単純承認が成立してしまう。

預貯金口座を解約したり、有価証券を売却してしまうと相続放棄ができなくなるので注意していただきたい。

NG例:葬式費用を故人保有株式の売却益で支払う

借金が理由なら限定承認も手

負債が理由の放棄の場合、限定承認も視野に入れてみても良いだろう。

限定承認ならプラスの財産で払える借金までしか相続しない。

そのため後から隠し財産や借金の過払金が戻ってきた場合、プラスの財産を受け取る権利を有しているので放棄より限定承認の方が得をする。

相続放棄を決める前に、もしも借金があるのなら「金利の高いものではないか」「過払金はないか」を確認しておこう。

ただし限定承認にも3ヶ月の期限があるため速やかに対処することをおすすめする。

相続全体で期限のあるものについては「相続の期限つき手続きまとめ!間に合わないとどうなる?対処法も解説」で紹介している。

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管理義務は継続

遺産として土地を相続した場合、放棄しても土地管理義務は発生している。

次の管理者が決まるまでは、何かあったときの責任追及は放棄した人も負うのだ。

  • 壁が壊れて、近隣住民がケガをした
  • 強風で屋根が飛んで、子供にケガを負わせた
  • 雑草が増えて害虫が大量発生し、近隣から苦情がきた

放棄したから何もしなくて良いと言うわけではなく、速やかに次の管理者を決めなければならない。

不動産相続で知っておきたい基本知識は「不動産相続したら何をすればいい?スケジュール、手続き、税金について」で紹介している。

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なお土地を相続すると登記が必要となり、義務化されることが決まっている。

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登記手続きを進める場合は早めに進めていただきたい。

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放棄しても受け取れるものもある

放棄すると全く何ももらえないわけではなく、遺族年金や生命保険金は受け取れる。

ただし積み立て保険は貯蓄の意味が強く、相続対象となるので受け取れない。

もちろん預貯金や有価証券、土地、建物などの資産は受け取れないので注意しておこう。

相続対象財産については「相続時に税金がかかる財産とかからない財産は?一覧表で相続財産の計算方法を解説!」で紹介している。

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トラブル回避のために放棄するなら伝えておく

相続放棄を行う場合、トラブル回避のために放棄する事実を伝えておこう。

タイミングは放棄を検討している段階で伝えておくのが望ましい。

相続放棄を行うことで相続順位が変わり、新しく相続権を得る人もいるからだ。

さらに相続人が1人減ることで他の相続人の税負担額も変化していく。

税負担額が変化する理由は「相続税の基礎控除はいくら?」、税金額はこちらで紹介している。

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後から「聞いていなかった」などのトラブルに発展しないためにも、まずは相続順位のルールを確認し、自分が放棄した場合に相続権が移る人へ放棄の事実を伝えておこう。

ルールについて詳しくは「相続順位はどうやって決める?当てはめるだけでわかるケース別の具体例」をご覧いただきたい。

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まとめ

相続放棄は返済義務から逃れられて1人で進められるメリットがある一方で、負債を他の相続人へ回すデメリットもある。

撤回不可であるため、メリットとデメリットを十分に理解した上で行うことをおすすめする。

ただし3ヶ月以内の期限が定められているので、なるべく早めに決めて準備を進めるのが良いだろう。

詳しい相続放棄手続きはこちらから、手続きに必要となる書類は「相続放棄の必要書類まとめ」を見て確認していただきたい。

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相続全体の手続きは、相続放棄のように期限付きのものが多い。

「何をどんなタイミングで行っていいのか」と迷ってしまうことも少なくないだろう。

可能であれば生前からいくつかの手続きについて話し合っておくと、相続手続きの時間を短縮することができる。

相続放棄をするか否か考える余裕にもつながるので、確認しておくと良いだろう。

全体の手続きの流れと目安については「相続手続きスケジュール!期限と必要書類、手続き場所を簡単チェック!」で確認できる。

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