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相続税率は最大55%!軽減ポイントは二次相続対策の有無!

相続税の税率は最大55%かかってくるため、負担を軽減するため相続税対策を講じる人は多いだろう。

ただし、相続税対策を行うだけでは将来の税負担が大きくなる可能性もある。

そこで二次相続まで考慮した対策を講じることが肝になるのだ。

今回は相続税で重要になる「一次相続」「二次相続」について解説していく。

もし相続税全体のことを知りたい場合はこちらを確認いただくことをおすすめする。

目次

一次相続、二次相続とは

一次相続は両親の片方がなくなった場合の相続を指し、法定相続人は配偶者と子供がメインとなる。

次相続は一次相続の後に発生する相続で、両親がどちらもなくなってしまって相続人が子供のみになった場合を指す。

法定相続人の詳しい決め方は「相続順位はどうやって決める?当てはめるだけでわかるケース別の具体例」で解説している。

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大きな違いは相続税負担額の違い

一次相続と二次相続の大きな違いは、子供の税負担額だ。

同じ金額を相続したとしても、以下のように二次相続では子供が負担する税金額が大きくなってしまう。

相続金額(万円)一次相続時(万円)二次相続(万円)
4,000040
4,50040160
5,00090310
5,500160480
※一次相続時は配偶者控除を適用

二次相続の方が税負担が高額になる理由

二次相続の方が税負担額が高額になってしまう理由として以下の3つが挙げられる。

  1. 配偶者控除がないため
  2. 基礎控除が減るため
  3. 一次相続の分も相続するため

配偶者控除がない

配偶者控除は、配偶者に限り1億6,000万円以内は相続税が発生しないという特例だ。

一次相続:配偶者がいるケース → 適用可能
二次相続:配偶者0 → 適用不可

そのため、控除を使えない後者では子供全員の相続税を負担額が大きくなってしまう。

基礎控除額が減る

基礎控除額とは、相続税が発生する課税金額を計算するときに適用できる控除額だ。

基礎控除は「3,000万円 − (600万円 × 法定相続人数)」で計算され、遺産総額から引けば、課税金額がわかる。

そのため基礎控除が大きければ大きいほど、相続税が発生しない水準も高くなるのである。

二次相続では配偶者がいなくなるため、法定相続人の数が1人減って基礎控除額が600万円減少する。

つまり、課税金額も高くなり、必然的に税負担額も大きくなる。

基礎控除については「相続税の基礎控除はいくら?自分が申告対象か一目で分かる一覧表付き!」で詳しく紹介している。

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ちなみに基礎控除は改正され金額も変化しているので、過去に相続経験がある人は計算方法が変わっていることに注意していただきたい。

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受け継ぐ金額がアップするため

二次相続では、「一次相続で配偶者が受け継いだ資産額」と「 配偶者自身の資産額」を相続することになる。

1回目の対象財産:父親の持っていた1億円
2回目の対象財産:父親から母親が相続した1億円 + 母親の持っていた株式3,500万円

つまり後者の相続の方が子供が受け取る額が上昇する確率が高いといえる。

相続税は超過累進税率で、対象金額が上がるほど税率がアップする。

そのため、子供だけの方が支払う金額も上がってしまうのである。

一次相続、二次相続の表

一次相続

これは配偶者+子供1人から4人の子供の税金額を表にしている。

遺産総額(万円)配偶者+子供1人(万円)配偶者+子供2人(万円)配偶者+子供3人(万円)配偶者+子供4人(万円)
4,000なしなしなしなし
5,0004010なしなし
6,000906030なし
7,0001601138050
8,000235175138100
9,000310240200163

遺言がなく法定相続分で計算したと仮定している。

二次相続

配偶者がおらず、子供が1人から4人の場合の子供の税金額をまとめた表は以下の通りだ。

遺産総額(万円)子供1人(万円)子供2人(万円)子供3人(万円)子供4人(万円)
4,00040なしなしなし
5,0001608020なし
6,00031018012060
7,000480320220160
8,000680470330260
9,000920620480360

人数が変わりないにも関わらず、「なし」の範囲が少なくなっていることがお分かりいただけるだろうか。

このように数値からも、子供だけの方が支払う金額が上がっていることが明らかになっている。

表の使い方

この表は、遺産総額と法定相続人数を適用して使うことになる。

例えば、配偶者と子供2人が遺産総額6,000万円を相続する場合、60万円の税金が発生すると一目で分かる。

ただし、全て等分して計算しているため、話し合いなどで相続割合が変化した場合はこの通りにはならない。

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配偶者を2分の1として、子供2人の相続割合を等分した場合と、4分の3と4分の1に分けた場合の税負担額は以下の通りだ。

遺産総額(万円)等分4分の3 / 4分の1
4,000なしなし
5,00010 / 107.5 / 2.5
6,00060 / 6045 / 15
7,000113 / 11384 / 28
8,000175 / 175131 / 43
9,000240 / 240180 / 60
※小数点以下切り捨て

このように、割合によって金額は増減することに注意していただきたい。

相続税の計算過程や具体的なシミュレーションは「相続税の計算シミュレーション!具体例付きでわかりやすく解説!」で解説している。

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相続時は二次相続を見据えることが重要

一次相続は残された配偶者のことを第一に考えながら二次相続を見据えることが重要となる。

具体的には配偶者控除の使用や、小規模住宅地等の特例の適用、遺言作成を視野に入れながら相続することを抑えていただきたい。

配偶者控除の適用をどれくらいにするのか

一次相続で発生する配偶者控除であるが、どれぐらい適用するかを決める必要がある。

配偶者控除は1億6,000万円まで非課税にできる非常に便利な特例であるので、適用する人も多いだろう。

ただ全額配偶者控除を適用して相続税0円にすると、二次相続の際に税負担額が急激に重くなってしまう。実際に配偶者控除の適応範囲を変えてどれくらい変わるのか見てみよう。

適応範囲を変えた例

一次相続:父の遺産2億円を相続

二次相続:(母が相続した1億円 + 母の財産)を子供2人が半分ずつ相続

A:一次相続で母が配偶者控除を適用させて2億全て相続、その後二次相続

B:一時相続は法定相続分で子供も相続、その後二次相続

上記の場合、それぞれの税金額は以下の通りになる。

配偶者(A / B)子供(A / B)子供(A / B)
一次相続0 / 00 / 7200 / 720
二次相続– / –4,480 / 2,1604,480 / 2,160
合計0 / 04,480 / 2,8804,480 / 2,880
※単位は全て万円

Aの場合、最初は0円だった子供は、次に相続したタイミングでBの2倍以上支払うことになっている。

ポイント:(妻100%・子供0%)の税負担 > (妻50%・子供25%)の税負担

配偶者控除を利用して一時的に配偶者と子供の税負担を0円にしても、1,000万円近く損してしまっている。

つまり、配偶者が亡くなった後に子供が負担する税金額を考えながら控除を適用しなければならない。

小規模宅地等の特例

相続発生時、相続者が住んでいた土地の評価額を50%~80%減額して、相続税額を下げられる小規模住宅地等の特例を利用できる。

この特例の適用先を誰にするのか、を決めておくと良い。

通常この特例を利用するのは配偶者が多い。

しかし、配偶者控除で既に1億6,000万円非課税にできるため、子供などへ適用させて有効活用するのも手だ。

ただこの小規模住宅地等の特例が適用されるのは、同居している子供などのという条件がある。

そのため相続発生前の対処が必要となる。

ポイント:適用先を変えて節税できる人を増やす

遺言作成も視野に

遺言を作成しておくことで、相続手続きがスムーズに進む。

遺言と聞くとハードルが高く感じてしまうかもしれないが、自筆のものでも可能だ。

もちろん遺言自体にも様々な種類はあり、口頭でも両者の合意が得られれば成立したと判断されるものもある。

そのため、比較的容易に残すことができる。

もしも手続きの際に遺言がないと、二次相続では子供同士で話し合って遺産分配することになるだろう。

一次相続の場合は配偶者が優先されるため、子供同士の遺産争いは発生しにくい。

しかし二次相続では両親がおらず、順位が平等な子供同士が話し合うことになる。

そのため、お互いが自分の取り分を譲らずに話し合いが難航してしまうケースも少なくない。

検討すべきケース

子供同士の仲が悪い

自分の主張を通そうとする子が多い

子供が仕事や家事育児で忙しそう

そこで一次相続後に配偶者が遺言書を作成しておくことで、遺産分割の際に揉めにくくなるのだ。

二次相続での税率軽減方法

一次相続を既に行ってしまったという人でも、二次相続発生前であれば税率軽減方法はいくつか対処法がある。

生前贈与

配偶者が相続した金額を、一定範囲内で贈与して資産額を減らす方法がある。

1人あたり年110万円まで贈与税が発生しない「暦年課税制度」を活用し、毎年110万円以下で贈与していくのだ。

この制度は毎年利用できるため、確実に相続発生時の負担額を減らすことができる。

ただし、毎年同額を贈与することはできないので、注意していただきたい。

相続税と贈与税のどちらがお得になるかについては「相続税の税率早見表!贈与税とどちらがお得?計算方法を一挙解説【2022年最新版】」で解説している。

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また生前贈与するか否かは個人の財産状況によるので、専門家の得意分野を見極めた上で相談先を探すと良いだろう。

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生命保険

被保険者(保険の加入者)が亡くなった際に発生する生命保険金は、相続税の課税対象だ。

ただ生命保険は「500万円 × 法定相続人分」を非課税にすることができる。

例:1,000万円の死亡保険金を子供2人が受け取る時、1,000万円 – 500万円 × 2人 = 0円(非課税)

そのため、二次相続などで相続税負担額を減らすことができる節税対策としても利用されている。

これ以外にも多くの節税対策がある。

具体的な方法は「相続の税金対策は何をすべき?下げる方法20選!相続後も活用可」で紹介している。

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特例などを用いつつ税金対策を行っていこう。

小規模宅地等の特例や相続時精算課税制度を利用

配偶者から土地を受け継ぐ際、いくつかの特例を適用することができる。

相続発生後に50%~80%まで評価額を減額して、相続税を減らせる「小規模宅地等の特例」

最大2,500万円まで一括贈与しても贈与税が発生しない「相続時精算課税制度」

ちなみに上記はどちらかしか適用できない。

また適用後の税金額が0円でも申告しなければならないため、特例を活用する際には手続きと注意点をしっかり確認しておくことが大切である。

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よくある質問

一次相続が済んでいないのに二次相続が発生した場合は?

この場合、相続税が余計にかかってしまうため、相似相続控除と呼ばれる制度が活用できる

一次相続が発生してから二次相続が発生するまでの期間が短いほど、二次相続での税負担額が軽減される。

詳しくは「相続時に税金がかかる財産とかからない財産は?一覧表で相続財産の計算方法を解説!」の控除についての項目で解説している。

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相続手続きをしなかったらどうなる?

相続権を放棄する「相続放棄」などができなくなり、勝手に相続したとみなされる。

そのため借金があっても相続して、返済しなければならないのだ。

個人の遺産に莫大な借金があった場合の返済義務を逃れる手段としても相続放棄は使われるので、手続きをしない選択肢は返って損をしてしまう可能性が高い。

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例:手続きを後回しにしていたら、ある日返済催促書が届いて借金を相続していたことを知った

放棄手続きは相続発生から3ヶ月までと期限が決められているため、自分が相続放棄するか否かをあらかじめ決めておくことが重要だ。

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相続放棄によって起こるメリットとデメリットはこちらで紹介している。

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あらかじめ理解しておいて、放棄すべきかどうか判断するのがよいだろう。

また不動産を相続していた場合、名義変更をしなかった場合は今後罰金10万以下の罰金を支払わなければならない。

詳しい登記については「相続登記とは?メリットデメリット・費用・しないとどうなるか詳しく解説!」で紹介しているので、不動産を相続している方は必ず手続き方法を確認していただきたい。

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まとめ

相続発生時に、二次相続をあらかじめ想定しておくのとおかないのとでは将来の税負担額も変わってくる。

既に一次相続が発生してしまった場合でも、生前贈与や生命保険の非課税枠を使って対策できるため、焦らずに対処していこう。

ただし、それぞれいつまでに何の手続きを行うのか全体の流れを確認して、手続き期限を過ぎないように注意したい。

詳しい相続時の手続き方法は「相続手続きスケジュール!期限と必要書類、手続き場所を簡単チェック!」で紹介している。

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